子宮頸癌ワクチンと公費助成

つぐしん

2010年04月07日 19:37

医療系のはずですが、開設以来いままで医療の話題がありませんでした。
今日の朝日新聞生活面に子宮頸癌〔けいがん〕ワクチンの公費助成の記事が載っていましたね。

最近子宮頸癌ワクチンの話題が多く報道されています。
子宮頸がんは子宮の入り口(子宮頸部)にできる癌で、20歳~30歳代で急増しています。
仕事や妊娠出産など大切な時期の死亡や子宮摘出など
本人だけでなく家族や社会に与える影響も大きいものがあります。

この癌はウイルス(ヒトパピローマウイルス HPV)が原因だといわれています。
ウイルスが原因ならワクチンで予防しましょう というのが子宮頸癌ワクチンです。
HPVは性交渉で感染し、9割は自然に排除されますが1割で体に残ってしまいます。
HPVは感染してもミズボウソウやオタフクカゼのようには抗体はできず、
また新たに感染するリスクは残ります。
抗体を作るにはワクチンが必要 というわけです。

さらにこのワクチンは外から新たに入ってくるウイルスは防御しますが、
すでに入り込んでいるウイルスを除去する働きはありません。
ですから性交渉前の年代(10代前半)で接種するのが一番効果が期待できると言う訳です。
もちろん成人の女性の方にも新たな感染を防ぐという意味では効果は期待できます。
7割の子宮頸がんはこのワクチンで予防ができるといわれています。

ただしすべての子宮頸がんがこのワクチンで予防できるわけではありません。
3割はこのワクチンでカバーできない型のウイルスが原因ですし、
すでに感染している場合それを除去する働きはありません。
子宮頸がんの早期発見には検診が必要です。
日本の子宮ガン検診の受診率は先進国中最低(22%)で、子宮頸がん征圧のためには
検診受診率を高める必要があります。
ワクチンと合わせて受診率が欧米並みに高まれば
9割以上の子宮頸がんを予防・早期発見できるのではないかといわれます。
ワクチンで予防し、検診で早期発見と言うわけです。

問題点は1回15000~20000円するワクチンを3回接種しなければならないという事です。
世界100ヶ国以上で販売されていますが、すでに30ヶ国以上で助成が行われています。
日本でも多くの議論がありますが、国よりも先に公費助成を決めた自治体が各地にあります。
効果を考え12歳(小6から中1)を対象に一部あるいは全額を助成する自治体が多いですね。

公費助成は税金です。小さな町のみんなのお金です。
そのお金を次の世代や、さらにその次の世代のために使う事には賛成です。
しかしワクチンの効果は上記のように万能ではなく、子宮頸がんを征圧するには、
病気のことを学んだり、検診を受けたり、地域皆で考え動くことも必要です。
せっかく皆で出す助成ならば、その効果を高めるためにも病気のことを知ってください。
地区の勉強会等できることがあればご協力しますので、ご相談下さい。

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