北の始発駅へ

今週は北海道へ渡りました。1月に訪問した夕張診療所を中心に、「支える医療」を展開されている方たちとお会いしてきました。
病気と戦う医療から、住み慣れた家や地域で歳を重ねていくことを支えていく医療へ、もう主役は医師ではありません。看護士やケアマネ、介護士や薬剤師など、みんなそれぞれプロとして共に、それぞれの職種の得意分野を生かしながら、フラットな関係で対象者を支えていきます。チーム医療と呼ばれたものをさらに進めた「多職種連携」といわれるものです。

象徴的なのは施設で各部屋を回っての診察(回診)する際に、医師・看護士以外にも多くの職種が一緒に回ることです。ケアマネさん、事務さん、薬を届けている調剤薬局の薬剤師さんなども一緒に利用者さんの元を訪れ情報を聞きます。津具では薬剤師さんの姿を見ることはありませんが、ここでは薬剤師さんが現場に出ていろいろな職種の方と動かれています。利用者さんの情報も共有できるし、別の視点から足りない部分を補い合えます。一人が頑張るだけではない、でもそれぞれがプロとして役割を果たす、一つのシステムとして利用者を支えていく形があります。

1月に訪問したときと比べると、夕張以外にもグループ施設が増えており、また夕張の中でも多くの施設が立ち上がっていました。民間ですので公設と比べると動きは速く、もちろん経営のリスクは背負っての話ですが必要なものをすぐ形にしていく行動力には感心するものがあります。新しい職員や若い職員も目を輝かせて楽しそうに積極的に動いている表情も印象的でした。手足を動かし知恵を絞り、物事を形にしてそして維持発展させていく、みんなそれぞれできる立場から誰かや地域に貢献できる仕事をしたいのだと思います。その思いを形にできる組織、大変なことも多いと思いますが、今の私には正直うらやましく思えます。


しかし今回の旅では職場見学の写真はありません。ネクタイと背広で決めて訪問したのですが、着替えてくるように言われました。
診療所医師は「支える医療研究所」の愛知県支部の名前を頂いていますが、今回は「ご苦労さん会」を兼ねて、まずゆっくり休むように計らってくださいました。振り返ってデジカメの中を見てもそんな景色や訪問先の写真ばかりでした。しかしそんな向こうの皆さんの心配りがとても温かく思えました。

北の始発駅へ

北の始発駅へ

北海道で最も古い鉄道が走った三笠の鉄道村と、廃線となった国鉄万字炭山駅跡です。私は津具に住んでからは鉄分の少ない生活を送っていますが、本性は「鉄」です。今回の行き先は「鉄」分の補給に丁度いい場所が多くありました。
あのころの血が騒ぎ出しました。またゆっくり「鉄」を楽しみたいと思います。

北の始発駅へ

訪れた地域は夕張を筆頭に昔の炭鉱の町です。閉山後に人が減り、家は雪に押しつぶされ、町は消えつつあります。夕張は診療所から奥にも「不夜城」と呼ばれるくらい多くの人が住んでいたそうですが、今はその面影もありません(前回の写真は今の町並みの端となった夕張神社です)。消えつつある人の営みの跡を、できれば定点撮影のように写真に残していきたいと村上先生はおっしゃっていました。このあたりに職業人としてだけではない、先生個人の地域愛を感じました。

北の始発駅へ

多くのフレーバーを組み合わせ、世界で唯一つのアイスを目の前で作ってくれるお店、注文する村上先生。一つずつが手作りなので普段はずっと並ばなければならないようです。あんまり仕事のことに結び付けたくないのですが、いろいろ工夫を凝らしたお店とパフォーマンス、診察室にも何か活かしたいですね。

北の始発駅へ

いろいろなことの始発駅となった夕張駅と、エキナカの「ルーチェ・ソラーレ」。今回もおいしい料理を頂きました。いろいろ話をお聞きすることもでき、また話をいろいろ聴いていただきました。心から楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。

物理的な距離を問わず、いつもいつも多くの方たちに支えていただいてばかりです。でも、こうして迎えていただけることを、心からありがたく思います。今後は自分がまた回りや次の人たちを支えていくことで、恩を返していきたいと思います。
勉強というのとはまた違う、いろいろ感じるところが多かった「旅」となりました。多くの皆さんに感謝します。ありがとうございました。


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