破綻した夕張市で支える医療に取り組んでいる村上智彦医師について書かれた本を読みました。
「医師・村上智彦の闘い~夕張 希望のまちづくりへ~」
医療や地域に対する村上先生の考え方がいろいろ書かれていますが、それ以上に今までの経過がありのままに書かれています。以前NHKでも放映されていましたが、北海道瀬棚町で行政住民と組み立てた予防医療が町村合併とともに瓦解していく過程は読んでいても苦しくなるものがありました。
私(診療所医師)も行政と真正面にやりあうことが必ずしも是ではないことはわかっているのですが、現場を見ないで問題を丸投げする行政には哀れみに近い思いを感じます。逆に共に進める行政は1+1が2だけでなく3でも4にでもできるような、住民にとっても心強いものになります。ヒトモノカネトキの限られた地域で、互いの能力を活かしながら地域のためできる所を伸ばして行きたいだけなんですけれど、いつか行政の物の考え方が理解できるときがくるのでしょうか。
テレビ放映についてはまだ動画が残っているようですから、ぜひご覧ください。
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瀬棚町村上医師
「支える医療」という形へ思いを積極的に実現化していく村上先生は、すごいと思います。どこにそんな活動力があるのでしょうか。またその行動力に多くの人が集まり動きを大きく広げていく姿は正直うらやましいです。どうしても行政との闘争だけに目が行ってしまいますが、もっと大きな「人間賛歌」「地域賛歌」の形が「支える医療」として書かれている、そのような本です。住民や行政との闘いも、そして協力も、その思いあっての上のことだと思います。
医療は地域づくりの一つ、それぞれができる分野で頑張って、みんなで地域をよい形に持って行けるような、住み続けてやっていきたくなるような、そんな地域を支えていける医療であれたらと改めて思いました。そのためにはもっともっといろいろな勉強が必要で、人間としてももっともっと大きくなる必要があるのですが。
皆さんももし機会があればぜひ読んでみて下さい。医療問題という視点からだけでなく、地域づくりという意味でもいろいろ考えさせられると思います。