今日は以前お知らせした地域医療講演会が新城市で開かれました。
千葉県立東金病院の平井愛山先生とNPO地域医療を育てる会の柳原三佳さんが、崩壊寸前から立ち直った東金病院と地域の取り組みについて話をされました。
厳しい状況が続くこの地域の医療ですが、地域で「医師を育てる」ための魅力ある病院・地域づくりという意味で可能性を示された有意義な話だったと思います。住民の立場からみた柳原さんの話もあり医療問題について考えるにはわかりやすかったのではないでしょうか。皆さんどう思われましたか?
私が感じたのは、まだ病院がある地域は道が示されていいなあ、医師を育てる病院もない奥の地域ではどうすればいいのかなという事です。町で医師が3人必要であれば、単純に30歳から75歳まで45年間働いてもらっても15年に一人医師を育てかつ帰ってきてもらわなければなりません。医師だけでなく昨今問題となっている救急や看護・介護などの人材もどんどん育てて帰ってきてもらわなければ維持できません。これらは医療だけでなく他の産業にも通じることで、地域づくりそのものとも思います。
また新城市民病院がよくなることを願いますが、現実には車に乗れなくなったときに市民病院まで通うのはかなり難しいです。最期を家で迎えるとなればどうするのか(産むことも死ぬこともできないのでしょうか)、地域でどうしたいのかしっかり考えておくことが必要だと思います。地域から外へ出る道はどれも片手や片足で運転するには難しく、決して遠い問題ではなくケガ一つで医療弱者に陥るリスクが常にある地域だということを考えてください。
公に要望するだけではもう人も金もありません。地域が住民が行政が考え、要望だけでなく、自分たちでできることはやらないともう持たない状況がそこまできています。
診療所としてできることは何でしょうか。新城市民病院さんに対しては機能をのびのび発揮してもらうべく連携を大切に患者さんを一緒に診させていただくことや、研修医の先生に対して地域医療や地域のことを一緒に伝えることなどでしょう。地域に対してはいろいろな合併や過疎に伴う問題に負けず今のスタンスを維持して患者さんや地域とともに地道に医療を続けて行くことだと思っています。地域医療を守り育てる(それは地域を守り育てること)ために皆さんができることは何か考えてみてください。私もまた住民の一人として考えます。
講演会内容より持論が多くなって申し訳ありません。地獄を見た人だけが語れる本当に重みのある心に響いた話だった分、現場に携わるものとしてプレッシャーに感じた部分も大きくありました。診療所も3年を経過しようとし、地域が抱える問題も見えてきたりして、今はいろいろ悩む時期なのかもしれません。